2022年5月27日
大崎電気工業株式会社

 

TCFD提言に基づく開示
当社グループは、気候変動課題への対応を、企業の持続可能性を揺るがすリスクのみならず、収益機会の拡大につながる重要な経営課題と認識しております。そこで、当社は2021年11月に金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)※1の提言への賛同を表明するとともに、TCFDコンソーシアム※2へ加盟しました。さらに、TCFDが公表した提言に沿った形で、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理体制」、「指標と目標」について、2030年を想定した中長期的な視点に基づき、開示を行います。

 

※1 TCFDとは、G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)により設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」を指します。企業等に対し、気候変動関連リスク、及び機会に関する項目について開示することを推奨しています。
TCFD ウェブサイト:https://www.fsb-tcfd.org/

 

※2 TCFDコンソーシアムとは、TCFD提言へ賛同する企業や機関が、効果的な情報開示や開示された情報を金融機関等の適切な投資判断に繋げるための取り組みについて議論する場として設立。
TCFD コンソーシアムウェブサイト:https://tcfd-consortium.jp/

(1)ガバナンス

当社は、気候変動を含めたサステナビリティに関する基本方針、重要課題、リスクおよび機会かつそれらへの対応策について、取締役社長執行役員が委員長を務めるサステナビリティ推進委員会で審議しております。また、審議された内容は取締役会に報告され、取締役会にてサステナビリティ経営に関する管理・監督を行っています。

 

【気候変動推進体制】
当社の気候変動を含めたサステナビリティ推進体制は次のとおりです。

サステナビリティ推進体制

(2)戦略

a) シナリオ分析

当社では、IEA(国際エネルギー機関)等が公表する「シナリオ」を用いて、気候変動が事業にどのような影響を及ぼすかについて、シナリオ分析を行いました。具体的には、移行リスクが最大化する「2℃シナリオ」、物理リスクが最大化する「4℃シナリオ」のそれぞれを想定し、2030年時点の気候変動関連リスクおよび機会についてまとめました。

 

移行リスク:炭素税の導入や排出権取引市場の拡大など低炭素経済への移行に伴って生じるリスク
物理リスク:洪水や干ばつなど自然災害等の激甚化によってもたらされるリスク

 

【低炭素/脱炭素化へと移行する社会(2℃シナリオ)】
カーボンニュートラルの達成へ向けた厳しい環境規制が導入され、それに伴うコストの増加や、ビジネス機会の拡大が想定されるシナリオです。物理リスクは低く、移行リスクが高くなる前提となります。

 

【気候変動対策が実施されず、物理リスクが顕在化(4℃シナリオ)】
厳しい環境規制の導入はなく、温室効果ガスの排出量の増加により自然災害が激甚化するシナリオです。移行リスクは低く、物理リスクが高くなる前提となります。

b) 重要なリスクと機会、及びそれらに対する対応策

当社グループの事業に対する、気候変動による影響が大きいと想定される、重要なリスクと機会、それらに対する対応策を下表のとおりまとめ、リスクの低減、機会の創出に向けて取り組んでいます。

<リスク>

分類 項目 主なリスク 対応策
移行リスク
(2℃シナリオ)
政策・規制 炭素税・排出権取引・GHG排出規制等の再エネ・省エネ政策の強化により、事業コストの負担が増加する 温室効果ガス排出量削減目標(*)を設定し、左記によるコスト上昇リスクを低減
*2030年度に2013年度比 46 %削減
気候変動に関する情報開示が不十分な場合、金融機関・投資家からの投融資が回避される ・TCFDに基づく気候変動に関する情報開示の充実化
・SBT(Science Based Targets)の認証取得
評判 気候変動に関する情報開示が不十分な場合、既存顧客からの受注が減少するとともに、新規顧客獲得が困難となる
物理リスク
(4℃シナリオ)
急性 ・自然災害の激甚化により、製造・サプライチェーンに影響を及ぼす可能性
・災害対策費用や保険料等のコストが増加する
外注を含めた生産拠点の分散化など、BCPの推進による左記リスクの低減

<機会>

分類 項目 主なリスク 対応策
移行リスク
(2℃シナリオ)
政策・規制 炭素税・排出権取引・GHG排出規制等の再エネ・省エネ政策の強化により:
1)排出権取引制度の強化や対象地域の拡大により、海外において電力計測ニーズが高まり、スマートメーター及び上位系システムの需要が高まる
2)省エネ機運が高まり、当社の脱炭素ソリューションの需要が高まる
1)新たな付加価値を創出するスマートメーター・上位系システム等の開発・提供
2)環境負荷低減へ貢献する施設(ビル・工場等)における脱炭素ソリューション
サービスの開発・提供
物理リスク
(4℃シナリオ)
急性 自然災害の激甚化により、BCP対策への社会的要請が高まり、送配電網のレジリエンス強化機能を持ったスマートメーターの需要が高まる 新たな付加価値を創出するスマートメーター・上位系システム等の開発・提供

c) 事業インパクト評価

これらの分析を踏まえ、リスク・機会それぞれにおいて具体的な対応策を講じることにより、気候変動による当社グループの長期的な成長への財務的な影響を低減してまいります。なお、シナリオ分析により得られた情報を基にした2030 年時点に想定される収益への影響については、現在精査しております。

(3)リスク管理体制

当社グループは、事業の持続的、安定的発展を確保するため、リスクの特定、分析、評価を行い、特定したリスクに対し必要な対策を講じ、リスクの低減を図っております。
なお、当社は「気候変動対応」を重要なリスクと位置付け、「大崎電気グループサステナビリティ基本方針」に基づき、具体的な施策を推進しております。

(4)指標と目標

当社グループは、Scope1,2に関する温室効果ガス排出量削減目標として、2030年度に2013年度比で46%削減することを目標とするとともに、日本政府が策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」等に基づき、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指しています。
なお、Scope3につきましても、目標設定に向けて、今後集計の精緻化に取り組み、SBT(Science Based Targets)の取得を目指します。

 

注釈
Scope1: 事業者自らによる燃料の使用によるCO2排出量
Scope2: 他社から供給された電力等の使用によるCO2排出量
Scope3: Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)