- デジタル技術の活用で電気設備の保安業務の効率化に貢献 -
大崎電気工業株式会社(本社:東京都品川区、取締役社長執行役員COO:渡辺光康、以下「当社」)と 株式会社ソラコム(本社:東京都港区、代表取締役社長 CEO:玉川憲、以下「ソラコム」)は、商業施設等における電気設備のスマート保安の実現に向け、検証モデルを開発したことをお知らせします。
深刻化する人手不足を背景に、電力をはじめとするライフライン分野では、インフラ設備の保安業務をデジタル技術によって効率化・高度化する「スマート保安」が注目されています。当社は、スマート保安の実現に向けたソリューションを検討するなかで、これまでの実績を活かせるソラコムのIoT通信技術を採用し、検証用モデルの開発に至りました。
今後は、この検証モデルでの実証を進め、スマート保安ソリューションの製品化を目指してまいります。
記
Ⅰ. 商業施設等における施設管理業務の課題
- 当社は、2026年度を最終年度とする中期経営計画において、労働力人口の減少や脱炭素社会の実現といった社会課題に対応する新たなソリューションの提供に注力しています。
- 具体的には、スマートメーターをはじめとする電気の計測・制御を行う製品を提供することで、商業施設等を所有、運営するお客様の施設管理業務の課題解決を支援しています。
- テナントビルや商業施設には、受変電設備や配電盤などの電気設備が設置されており、それらの点検・保守は電気主任技術者の資格を持つ方が行う必要があります。
- また、ビルのオーナーや施設管理会社は、テナントごとの電力使用量に基づいて電気料金を請求していますが、現在でも検針担当者が各テナントを訪問し、目視で使用量を確認しているケースが少なくありません。
- 一方で熟練技術者や検針担当者の人手不足が深刻化しており、デジタル技術を活用して、これらの業務を効率化・省人化することが喫緊の課題となっています。
Ⅱ. 当社とソラコムの取り組み ~ 検針業務の効率化から、スマート保安への拡大 ~
(1) 電力使用量の検針業務の効率化
- こうした課題を踏まえ、当社は2023年に自動検針ソリューション「らくらく検針」を開発しました。
- 「らくらく検針」は、既設の電力量計を当社のスマートメーターに交換するだけで、電力使用量を遠隔で自動的に計測することができ、検針業務の省人化と精度向上を支援します。
- 「らくらく検針」では、ソラコムのIoT通信技術と、IoTシステムの安全かつ効率的な開発・運用を可能にするプラットフォーム「SORACOM」を活用しています。「SORACOM」の活用によって、「らくらく検針」は短期間での製品化を実現しただけでなく、複数の通信回線に対応することで、全国で安定したサービス提供が可能となりました。
(2) 設備保安業務の効率化・高度化
- 「らくらく検針」に続き、当社は設備保安業務の効率化・高度化に貢献する「スマート保安」の実現に向けたソリューションの開発に着手しました。
- 今回開発した検証モデルは、当社のマルチデータ収集装置とソラコムのIoT基盤を組み合わせて構成されています。
- マルチデータ収集装置は、複数のセンサーや計測機器と接続し、電気設備の状態に関するさまざまなデータを収集する機器です。これらのデータを常時オンラインで監視することで、漏電のリスクや過電流などの異常の兆候を早期に検知でき、点検作業の省力化と事故の未然防止を両立します。
- さらに、設備の故障や異常の検出につながる検証も行います。この機能が実現すれば、適切な設備更新を通じて、効率的な運用と安定的な維持管理に貢献することができます。
Ⅲ. 今後の展開
- 当社は今後、この検証モデルを用いた実証を進め、スマート保安ソリューションの製品化を目指します。
- 将来的には、自動検針とスマート保安ソリューションを組み合わせることで、お客様の施設管理業務の統合的な運用が可能となり、現場訪問の削減や取得データの新たな活用が期待されます。
- さらに、電力の利用や管理に関わるさまざまな分野において、デジタル技術の活用を通じて、お客様の業務の効率化・高度化に貢献してまいります。
- 当社とソラコムは、こうした取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に向けて引き続き協働してまいります。
Ⅳ. 両社のコメント
大崎電気工業株式会社 執行役員ソリューション事業部副事業部長 開発担当 阿部 純
ソラコム様をテクノロジーパートナーに選んだ理由は、IoTプラットフォームとしての高い柔軟性と、実装までのスピード感です。マルチキャリア対応やAPI連携など、将来的な展開にも対応できる機能が揃っており、限られた期間の中でも、必要な仕組みを迅速に構築することができました。
これにより、お客様のエネルギー管理を効率的かつ高度に行えるソリューションの展開が加速しつつあります。今後はこれらのソリューションを通じて、お客様のエネルギー利用の最適化やGX(グリーントランスフォーメーション)の実現にも貢献していきたいと考えています。
株式会社ソラコム 上級執行役員CEO of Japan 齋藤 洋徳
大崎電気工業様とともに、エネルギー管理のDX(デジタルトランスフォーメーション)、そしてGXへの取り組みを支援できることを嬉しく思います。私たちはテクノロジーの民主化を掲げ、IoT技術を効率的に活用するためのプラットフォームを提供してきました。一方、大崎電気工業様は、エネルギー管理に関する深い知見を多くの現場で活用可能な形に展開し、まさに“エネルギー管理の民主化”を目指されています。引き続き、お客さまからのフィードバックを大切にしながら、サービスの進化と社会的インパクトの拡大をともに目指してまいります。
■らくらく検針について
https://www.osaki.co.jp/ja/product/search/category/category04-5/04-5_1.html
なお、本リリースに記載の商品名称・サービス名称は、該当各社の商標または登録商標です。
Ⅴ. ソラコム概要
